公務員こそFPの勉強をするべきと感じた理由

 

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記事のタイトルをみて、

役所の職員が資格をとって何になるんだよ?

資格なんて取ったって無駄無駄!

と思った方、大勢いらっしゃっるかと思います。

ただ、私が2級、3級FP技能士の勉強を通じて感じた事の一番は『公務員こそフィナンシャルプランニング技能士(FP)の資格を取るべき』です。

何故そう感じたのか、その理由を元公務員であり、2級、3級FP技能検定を合格した筆者が解説します。

 

そもそもフィナンシャルプランナーって何?

日本FP協会にはこのように書かれています。

人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。

フィナンシャルプランナーの資格の勉強することで『お金を扱うプロとして専門的にアドバイスができる立場』になれるという事です。

 

比較的簡単に取得できる

フィナンシャルプランニング技能士の資格は比較的簡単に取得できます。

地方上級の公務員試験の目安の勉強時間は1000時間と言われています。

一方、フィナンシャルプランニング技能士は、3級であれば、80〜150時間、2級であれば150〜300時間と公務員試験の10分の1〜3分の1程度の勉強時間で取得できると言われています。

難関な試験を乗り越えて晴れて役所等に合格しているみなさんは勉強をしていても『それほど難しくないな』と感じると思います。

試験内容も社会保険、年金や税金、不動産、相続など役所の業務に比較的に馴染みやすい内容となっているため、尚更です。

※実際私も受験してみて、3級であれば勉強をさほどしなくても合格できてしまう方もいるんじゃないかと感じました。

少しでも興味を持った方は書店の資格取得コーナーでFP試験の過去問題集をパラパラとめくって見てみる事をおススメします。

職場での評価が上がるかも?

快適に役所生活を過ごすために一定の職場での評価って大事ですよね。

(ある程度評価され始めると、上司からの無駄な指摘がなくなったり…。)

役所等の業務はその部署の知識だけで完結しないことも頻繁に発生します。

職場で他の部署の業務の知識が必要となった際に、以前そこの部署にいた人が重宝される場面って頻繁にありますよね。

その際に、上司や同僚達が知らない、所属をした事もない部署に関する知識をぱぱっとと回答できた場合、「お?こいつ何かすごいぞ」と周りの評価は一気に向上します。

特に、フィナンシャルプランナーで出題される、税金や社会保障制度、不動産等の分野知識は役所で仕事をしていく上で欠かせない知識となっています。

身につけておく事で、職場内での自分の評価を上げるチャンスを得られます。

また、役所等だと、資格を保有していない人もざらにいますよね?(恥ずかしながら公務員時代の私もそうでした)

難易度は決して高いとは言えないものの、FPは名の知れた国家資格ですので、保有しているだけで、一目を置かれるなんて事も期待できそうです。

将来お金の不安が解消

将来年金が減らされる!などと言われていたり、自分が死んでしまった場合など、将来のお金の事で漠然とした不安を抱いていませんか?

フィナンシャルプランナーの業務は『人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く』事ですが、これは自分にも当てはまる事です。

年齢とともに段階的に上がっていく年功序列の給料、よほどの事がない限りはリストラされる事もありません。そういった点では、公務員ほど、将来のライフプランを立てやすい職業はないのではないでしょうか。

フィナンシャルプランナーに必要な知識をしっかりと身につけ、自分のライフプランを自分で設計する事で、自分の人生に見通しをつける事ができます。

 

副業の足掛かりに

公務員はご存知の通り、副業禁止となっていますが、合法的に副業を行う事もできます。

合法的な副業のうち、実際によく行われているのが、株や投資信託、FX(為替)、不動産賃貸などです。

実際に利益を得るような知識は実践しながらでなければ、得られないかもしれませんが、FPの勉強をする事で、これらの副業に必要な基礎的な知識は身につける事ができます。

何事もそうですが、全く知らないものに手を出す気にはなれませんよね。

人生の中では、必ず資産を増やすチャンスが生まれてきます。

(実際私もiDeCoが公務員解禁になった際にいの一番に始めたり、コロナ禍で株を始めたりして資産を増やしてきました)

分からないから足踏みしているそんな間にそのチャンスを逃す事があるかもしれません。

FP試験では金融資産(株や投資信託など)や不動産の知識も出題範囲に含まれますので、副業の足掛かりの知識としては優秀です。

転職も視野に

定年まで約40年の職業人生の中、今でこそ、役所で一生を終えるんだと思っているいる方でも、何かのきっかけで役所を辞めたいと思う事があるかもしれません。(私がそうでした。)

少しでも転職に有利になる材料を揃えておくという考えもありなのではないでしょうか?


公務員(特に行政職)は民間からみると、何をやっていた人だか分かってもらえない事が多いです。

 
資格難易度はさほど高くないため、採用の決め手とまではいかないかもしれませんが、FP資格が資格手当になる会社や採用募集に『フィナンシャルプランナー資格保有者歓迎』と記載もあるくらいですから、需要は十分あると言えるのではないでしょうか。

 


いかがでしたでしょうか。

役所人生十数年徴税業務、用地買収、施設整備、管理などの部署を転々とした後に2、3級FP技能士の資格を取得した私がポジショントークのために書いていると思う方もいるかもしれません。

ただ、今の私は公務員現役の時に資格取得しておけば良かったー!との後悔からこの記事を書いています。

この記事をみて、FP試験を受験してみようかなと思ってくれた方が一人でもいたら幸いです。

駄文失礼しました。

国民年金【FP試験勉強中、現役FPの方向け】

国民年金の被保険者の区分と免除、任意加入制度関する記事です。

こんな方におススメの記事

・フィナンシャルプランナー(FP)の資格取得のために、「国民年金」の内容を勉強したい方。

・フィナンシャルプランナー(FP)として活躍している方で、国民年金」の内容を改めて、基礎に戻って確認したい方。

 

 

国民年金の加入者の種別と保険料

国民年金の被保険者は職業によって第1号、第2号、第3号に分かれます。

加入条件や手続きの窓口、保険料の納付方法などの違いは下記の表の通りです。

 

第1号被保険者

第2号被保険者

第3号被保険者

条件

国内在住

20歳以上60歳未満

2号、3号以外の人

厚生年金の被保険者(65歳以上の人は老齢年金の受給権がない場合のみ)

国内在住

2号の被扶養配偶者

20歳以上60歳未満

対象者

自営業

会社員、公務員、私学教職員など

専業主婦など

加入手続き

市区町村役場

勤務先

配偶者の勤務先

保険料

月額16,540

納付期限は翌月月末

付加年金の保険料は400円(任意)

個別に国民年金保険料を納める必要はない

2号及び3号の国民年金保険料は厚生年金保険の保険料から拠出されている。

 

保険料の免除制度

第1号被保険者の保険料は収入などに関係なく、定額となっていますが、経済的な理由などで保険料を納める事ができない場合には免除制度を申請する事ができます。

年金を受けるためには10年以上保険料を納める必要がありますが、原則免除の適用を受けた期間は、すべての免除方式で、受給資格期間に入れる事ができます。

しかし、年金の受給額は納付期間によって変動しますが、追納しなければ、受給額計算に使われる期間には入らないので、注意が必要です。

 

免除条件

受給資格期間

年金受給額

法定免除

2級以上の障害年金生活保護の生活扶助をうけている

全額免除

申請免除

所得に応じて全額免除、3/4免除、1/2免除、1/4免除がある。

所得審査の対象は本人及び配偶者並びに世帯主

納付猶予

50歳未満が対象

所得審査の対象者は本人及び配偶者

×

学生納付特例

20歳以上の学生が対象。

所得審査の対象は学生本人

×

産前産後免除

免除期間は出産予定日または出産月の前月から4カ月

所得の有無は関係なし

※免除・猶予が適用された場合、保険料を10年までさかのぼって追納できます。

※3年目以降に追納する場合には利息相当額が加算されます。

 

任意加入被保険者

60歳以上65歳未満の人、老齢年金の受給権のない65歳以上70歳未満の人、日本国内に住所のない20歳以上65歳未満の日本国籍の人は国民年金に任意加入できる制度があります。

※厚生年金保険の被保険者は加入する事ができない

公的年金制度の概要【FP試験勉強中、現役FPの方向け】

日本では原則20歳~60歳未満の人は公的年金の保険料を納める義務を負います。

これを国民皆年金といいます。

ここのページでは日本における年金制度の概要について説明します。

こんな方におススメの記事

・フィナンシャルプランナー(FP)の資格取得のために、「公的年金の概要」の内容を勉強したい方。

・フィナンシャルプランナー(FP)として活躍している方で、公的年金の概要」の内容を改めて、基礎に戻って確認したい方。

 

公的年金制度

20歳以上60歳未満のすべての国民は公的年金に加入しなければならない。これを国民皆年金制度といいます。

毎年、年金額はマクロ経済スライド(※)により、少子化による被保険者数の減少や平均余命の伸び率が毎年度の年金額の改定率に反映される仕組みとなっています。

 

※賃金と物価を反映して変動。年金の増加率は物価の増加率よりも抑えられる

 

給付の種類は「老齢給付」「障害給付」「医学給付」があります。

 

 

日本の年金制度の全体像

 

確定拠出年金

確定拠出年金

 

3階建

 

厚生年金基金

企業年金

年金払退職給付

 

2階建

付加年金・

国民年金基金など

厚生年金

 

1階建

国民年金

 

自営業

(第1号被保険者)

会社員・公務員など

(第2号被保険者)

専業主婦(主夫)

(第3号被保険者)

           

 

第1号被保険者

対象者は日本国内に住所のある原則20歳以上60歳未満の人

保険料は定額16,540円(令和2年度)

原則納付対象月の翌月末日までに納付する必要がある。

 

第2号被保険者

被用者年金制度(厚生年金保険)の加入者

保険料は厚生年金保険の保険料定率18.300%(労使折半)

 

第3号被保険者

第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(原則国内在住)

保険料は制度全体で負担するため、なし。

 

雇用保険【FP試験勉強中、現役FPの方向け】

雇用保険は労働者が失業した際の補償や、失業を予防を目的とした保険で、政府が運用しており、ハローワーク公共職業安定所)が窓口となる制度です。

今回はその雇用保険について説明します。

 

こんな方におススメの記事

・フィナンシャルプランナー(FP)の資格取得のために、「雇用保険」の内容を勉強したい方。

・フィナンシャルプランナー(FP)として活躍している方で、雇用保険」の内容を改めて、基礎に戻って確認したい方。

 

 

雇用保険とは

雇用保険は労働者が失業した場合、雇用の継続が困難になったときなどに給付(失業等給付)を行う制度です。また、失業の予防や労働者の能力開発、向上を図るための事業(雇用保険二事業)なども行っています。

 

被保険者

適用事業に雇用される労働者は原則雇用保険の被保険者となります。被保険者は一般被保険者、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者の4つに分類されます。

一般被保険者・・・65歳未満の常用労働者

 

高年齢被保険者・・・65歳以上の常用労働者

 

短期雇用特例被保険者・・・労働時間週20時間以上かつ雇用期間31日以上のパート等

 

日雇労働被保険者・・・日雇労働者

 

保険料

雇用保険の保険料は失業等給付分は被保険者と事業主が折半し、雇用保険二事業分は事業者が全額負担となります。

※一般の事業の場合・・・賃金総額の0.9%(労働者負担0.3%、事業主負担0.6%)

 

雇用保険の給付の種類

雇用保険の失業等給付には求職者給付、就職雇用給付、教育訓練給付、雇用継続給付があります。

 

求職者給付(失業した時に給付)

求職者給付は失業者が求職活動中に支給されるものです。一般被保険者には基本手当、技能習得手当が支給され、高年齢被保険者には高年齢求職者給付が支給されます。

 

就職促進給付(早期に再就職した時に給付)

就職促進給付は早期に再就職したときに支給されるものです。就業促進手当、移転費、求職活動支援費が支給されます。

 

教育訓練給付(能力向上のために給付)

教育訓練給付は労働者の能力向上のために支給されるものです。教育訓練給付金、教育訓練支援給付金が支給されます。

 

雇用継続給付(高齢で働く、育児・介護休業を取得した時に給付)

雇用継続給付は高齢になっても働く場合や育児・介護休業を取得した場合に支給されるものです。高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付などがあります。

 

基本手当

基本手当は一般被保険者(65歳以上の常用労働者)が失業した時に支給される手当です。

支給要件

①働く意思や能力のある人が、求職活動をしているにも関わらず就職ができない状態である事。

 

②離職日以前2年間に被保険者期間(※)が通算して12か月以上あること。

 ただし、倒産や解雇、退職勧奨などにより離職した者(特定受給資格者)や契約更新できなかった有期契約労働者、正当な理由(体力の衰えや結婚による転居など)で自己都合で離職した者(特定理由離職者)の場合

 離職日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あることとなります。

 

※被保険者期間は離職日から遡って1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を被保険者期間1カ月としてカウントする。

 

基本手当日額

基本手当の日額は賃金日額×一定率(年齢・被保険者期間によって異なる)

※賃金日額は「退職前6カ月間の賃金総額÷180」で、下限額および年齢ごとの上限額があります。

 

所定給付日数

自己都合や定年などの離職の場合は90日~150日

雇用期間1年以上10年未満・・・90日

雇用期間10年以上20年未満・・・120日

雇用期間20年以上・・・120日

 

特定受給資格者や特定理由離職者は90日~330日

雇用期間5年ごと、年齢は30歳から5歳ごとに日数が異なります。

 

受給期間及び支給開始日

受給期間は1年間

※受給期間を過ぎると所定給付日数が残っていても、それ以降の基本手当は支給されない

※病気やケガ、出産等の理由で引き続き30日以上就職できない期間がある場合は最大で4年間延長できる。

支給開始日は待期期間が7日

自己都合退職などはさらに給付制限が最長3カ月となります。

 

高年齢求職者給付

高年齢求職者給付は65歳以上の被保険者が失業した場合に支給されます。(65歳以上の被保険者には支給されない基本手当の代わりとなるもの)

 

受給要件

①65歳以上の被保険者(短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者を除く)が離職。

 

②働く意思や能力のある人が、求職活動をしているにも関わらず就職ができない状態である事。

 

③離職日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あること。

 

支給額

雇用保険期間1年未満・・・基本手当日額の30日

雇用保険期間1年以上・・・基本手当日額の50日

 

支給開始日

基本手当と同じ

 

再就職手当

再就職手当は基本手当の受給資格者が安定した職業に再就職したときに支給される手当です。

 

受給要件

受給要件は基本手当の所定給付日数1/3以上の支給額を残し、安定した職業(雇用期間1年間超)につく事です。

 

支給額

再就職手当の支給額は基本手当日数の60%か70%が支給されます。

所定給付日数に対する支給残日額の割合が3分の1以上なら60%

所定給付日数に対する支給残日額の割合が3分の2以上なら70%

支給されます。

 

就業手当

就業手当は基本手当の受給資格者が臨時的な職業に再就職したときに支給される手当です。

 

受給要件

受給要件は基本手当の所定給付日数1/3以上の支給額を残し、臨時的な職業(雇用期間1年間未満)につく事です。

 

支給額

再就職手当の支給額は基本手当日数の30%支給されます。

 

 

高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付とは60歳以後の給料が大きく下がった時、そのまま引退されてしまうと国にとって損失となってしまうため、雇用保険から給料の上乗せがされる制度。

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金があります。

 

高年齢雇用継続給付金

高年齢雇用継続給付金は基本手当を受給しないで60歳以後も勤めている場合に支給される給付金

 

受給要件

・60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者等

雇用保険の加入期間が通算で5年以上

・原則60歳到達時の賃金に比べて75%未満の賃金で働いていること

 

支給額

支給額は下記の通りとなります。

低下後の賃金が61%未満・・・60歳以後の賃金×15%

低下後の賃金が61%以上75歳未満・・・60歳以後の賃金×0%~15%

低下後の賃金が75%以上・・・0円

 

支給期間

支給期間は60歳~65歳に達するまでとなります。

 

高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金は基本手当を受給して60歳以後に再就職し、基本手当の支給残日数が100日以上ある場合に支給される給付金です。

 

受給要件

・60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者等

雇用保険の加入期間が通算で5年以上

・原則60歳到達時の賃金に比べて75%未満の賃金で働いていること

 

支給額

支給額は下記の通りとなります。

低下後の賃金が61%未満・・・60歳以後の賃金×15%

低下後の賃金が61%以上75歳未満・・・60歳以後の賃金×0%~15%

低下後の賃金が75%以上・・・0円

 

支給期間

支給期間は基本手当の支給残日数が

100日以上200日未満・・・1年間

200日以上・・・2年間

 

育児休業給付

育児休業給付金は被保険者等が育児休業を取得したときにもらえる給付金です。

受給要件

・1歳未満の子を養育するために育児休業を取得すること

※パパママ育休プラス制度に該当する場合は1歳2か月未満、保育所等の利用不可の場合は1年6カ月、または2歳未満)

・休業開始前2年間に被保険者が通算して12か月以上あること。

 

支給額

休業開始時賃金日額×休業開始から180日目までは67%

181日目以降は50%

 

支給期間

育児休業開始日から子が1歳(最長2歳)

 

介護休業給付

介護休業給付金は被保険者等が介護休業を取得したときにもらえる給付金です。

受給要件

・対象となる家族を介護するために介護休業を取得したこと

・休業開始前2年間に被保険者が通算して12か月以上あること。

 

支給額

休業開始時賃金日額×67%

 

支給期間

対象家族1人につき介護休業開始日から通算して93日まで、最大3回まで分割可能

労働者災害補償保険(労災保険)【FP試験勉強中、現役FPの方向け】

労働者の仕事上・通勤途中でのケガや病気については健康保険ではなく、労災保険が適用になります。すべての労働者に適用され、一人でも労働者を使用する事業者は、労働者を保険に加入させるのが義務となっています。

ここではその労働者災害補償保険労災保険)について説明します。

 

こんな方におススメの記事

・フィナンシャルプランナー(FP)の資格取得のために、「労働者災害補償保険」の内容を勉強したい方。

・フィナンシャルプランナー(FP)として活躍している方で、労働者災害補償保険」の内容を改めて、基礎に戻って確認したい方。

 

 

適用される労働者

正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、臨時工など、雇用形態を問わず、すべての労働者が労災保険の適用になります。 

 

保険料

保険料は全額事業主負担となり、保険料は賃金総額に労災保険率を掛けた額で、事業の種類ごとに利率が異なります。

 

特別加入制度

特別加入制度は労働者ではない事業主や役員等が一定要件を満たせば、労災保険に加入できる制度です。

中小事業者は労働保険事務組合、一人親方等は一人親方等の団体、海外派遣者は事業主を通じて手続きを行います。

 

労災認定

労災認定を受けるためには次の災害に該当するものでなければなりません。

業務災害

業務災害と認定されるためには次の2つの条件が必要になります。

事業主の支配下にある状態のもの発生したこと。(業務遂行性)

業務と傷病(病気やケガなど)との間に因果関係があること。(業務起因性)

 

通勤災害

自宅と会社の間を合理的な経路、方法で往復した際に起きた事故であれば通勤災害として認定されます。

途中で通常の経路から外れた場合、外れたあとの経路で起きた事故については認められないので注意。

(外れた経路がスーパーで買い物など日常生活上必要な行為で最小限度の場合には通常の経路に戻った後の移動は通勤と認められます。)

 

労災保険の給付の種類

労災保険の給付は健康保険の給付よりも充実した内容になっています。

療養の給付

労災により受けた傷病の診察・薬剤・治療材料の支給、処置、手術などを受けた時に給付される。

診察に伴う自己負担額は全額支給で、自己負担額はなし

 

 

休業(補償)給付

労災により、病気やけがのため、働けず、給与が支払われないときなどに、支払われる手当。

 

休業4日目から1日につき給付基礎日額(災害発生以前3カ月間に支払われた平均賃金日額)の6割が支給されます。

さらに2割の特別支給金もあります。

 

傷病(補償)年金

療養開始後、1年6カ月経っても傷病が治らず、障害の程度が、傷病等級に該当するときに、傷病等級に応じて年金が支給されます。

 

障害(補償)給付

傷病が治癒した後に障害等級に該当する傷病が残ったとき、支給されます。

障害等級第1~7級は年金が支給され、第8~14級は一時金が支払われます。

 

介護(補償)給付

障害等級、傷病等級の1級、2級(2級の場合一部)の受給権者がその障害によって現に介護を受けている場合、介護費用として支出した額が支給されます。

介護状態等に応じて上限額、保障額があります。

 

遺族(補償)給付

労災により労働者が死亡した場合に給付されます。

受給資格のある遺族の人数に応じて年金が支給されます。

年金を受ける家族がいない場合、一時金が支給されます。

 

埋葬料(給付)

労働者が亡くなり、埋葬を行った場合に支給されます。

 

公的介護保険【FP試験勉強中、現役FPの方向け】

介護保険は介護が必要になった高齢者、およびその家族の負担を軽減するために介護を社会全体で支えあう制度です。

今回は公的介護保険の内容について説明します。

こんな方におススメの記事

・フィナンシャルプランナー(FP)の資格取得のために、「公的介護保険」の内容を勉強したい方。

・フィナンシャルプランナー(FP)として活躍している方で、公的介護保険」の内容を改めて、基礎に戻って確認したい方。

 

 

保険者

公的介護保険の保険者は市区町村となります。

 

被保険者

40歳以上のすべての人が介護保険の被保険者となります。

65歳以上の人は第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人は第2号被保険者という区分になります。

 

第1号被保険者と第2号被保険者との違い

 

第1号被保険者

第2号被保険者

保険者

市区町村

利用負担

原則1割負担(一定の第1号被保険者は2割(合計所得160万円以上)または3割負担(合計所得220万円以上)ケアプラン作成は全額給付となる

対象者

65歳以上の者

40歳以上65歳未満医療保険加入者

受給者

原因を問わず、要介護、要支援状態となった者

特定疾患に該当する要介護、要支援状態となった者

保険料

所得に応じた介護保険

(市町村により異なる)

 

健康保険加入者

標準報酬月額×介護保険料(原則労使折半)

国民健康保険加入者

所得割、均等割等にあん分(国庫負担あり)

保険料の納付

公約年金が年額18万円以上の場合、年金から天引き(特別徴収)

特別徴収が困難な場合は市区町村が個別に徴収。

医療保険料に上乗せして徴収

 

高額介護サービス費

要介護度にごとに決められた利用限度額の範囲内の自己負担分については、負担額に上限が定められています。

ただし、老人ホーム等の居住費や食費、差額ベット代、住宅改修費、福祉用具購入費などは対象外となり、全額自己負担となります。

後期高齢者医療制度【FP試験勉強中、現役FPの方向け】

日本は国民皆保険の国であるため、日本に住むすべての国民は保険に加入している必要があります。75歳以上になるとそれまで、国民健康保険に加入していた人も、健康保険に加入していた人も一律で後期高齢者医療制度の被保険者になります。

ここでは後期高齢者医療制度について説明します。

こんな方におススメの記事

・フィナンシャルプランナー(FP)の資格取得のために、「後期高齢者医療制度」の内容を勉強したい方。

・フィナンシャルプランナー(FP)として活躍している方で、後期高齢者医療制度の内容を改めて、基礎に戻って確認したい方。

 

 

保険者

保険者は都道府県ごとに置かれた後期高齢者医療広域連合となります。

 

被保険者

75歳以上のすべての人。国民健康保険同様、扶養の概念がないため、それまで健康保険の扶養になっていた人も被保険者となる。

 

保険料

保険料は所得割・均等割の合計で算出。

都道府県ごとに保険料が異なります。

原則、年金からの天引きにより納付を行います。

 

給付内容

療養の給付、高額療養費、高額介護合算療養費など国民健康保険と似たような給付となります。

病院の窓口で支払う自己負担の割合は1割。(ただし、現役並みの所得がある場合には3割となる)