税金の滞納による差押がされるタイミングはいつなのか?
税金の滞納から差押までの流れについて知りたい。
税金の差押えを回避する方法は?
以上の疑問を実際に徴税吏員として5年間、税金の差押業務に携わってきた筆者が解説します。
- 税金の滞納による差押はいつされるのか?
- 税金の滞納による差押の要件について
- 実際の滞納から差押えまでの流れは?
- 実際に差押が行われるのは?
- 滞納者の情報は管理されている
- 税金の滞納による差押を回避するには?
税金の滞納による差押はいつされるのか?
税金の滞納による差押がされるタイミングはいつなのか? 結論は下記の通り。
①法律上、差押の要件は督促発布後、10日経過であり、納期限が過ぎてから国税の場合は2か月、地方税の場合は1か月程度で差押される可能性がある。
②通常、滞納から差押までの流れは納期限過ぎる(滞納)⇒督促発布⇒催告(電話・通知など)⇒財産調査⇒財産が見つかり次第差押という流れであり、法令通りすぐに差押は実質難しい。
③ただし、滞納から差押までの手順は行政機関や自治体によって方針が異なる。催告(電話・通知)を行わずに財産調査を進めたり、すでに調査済の余剰財産を把握している場合は、すぐに差押をされる可能性もある。
④最近では過去の相談履歴や財産調査結果をシステム上で管理ができるようになっており、今後、滞納から差押までの期間が短くなる可能性が高い。
下記でしっかり解説していきます。
税金の滞納による差押の要件について
税金の滞納による差押はどのような条件がそろった時にされてしまうのか?それは
税金の滞納による差押に関して国税徴収法(第47条)では
「滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。」
徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
と規定されています。
税金は国税、地方税に分かれていますが、各種地方税もこの規定と同様の規定となっています。
差押えの要件はたったこの条文だけです。
督促が発布されてから10日以上経つと徴収職員は差押をする事が可能となる上に、法律上は「差し押さえしなければならない」と規定されているのです。
通常督促状は納期限を過ぎてから国税の場合は50日以内、地方税の場合は20日以内に督促状が発布される事になっています。
つまり、納期限から、国税の場合には約2か月、地方税の場合には約1か月経過した時点で差押が可能となってしまうのです。
実際の滞納から差押えまでの流れは?
納期限経過(滞納)⇒督促状発布⇒催告⇒財産調査⇒財産差押となります。
納期限経過(滞納)
納期限を1日でも過ぎてしまうと「滞納」扱いとなります。納期限は税金の種類や自治体によって異なりますので、注意が必要です。
税金は国税、地方税に分かれており、その対象となる税金によって取り扱いの行政機関が異なります。その調べ方がわからないという方はこちらの記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
税金を滞納してしまった時の相談窓口はどこ?調べ方も解説 - ZETs
督促状の発布
国税であれば納期限が過ぎてから50日以内、地方税であれば20日以内に督促状が発布されます。(国税通則法第37条、地方税法参考)
催告
催告とは税金を納付するよう催促を行う事です。
その方法は電話や文章によるものや、訪問するなど、行政機関や自治体によってその方法やその期間は様々となります。
財産調査
財産調査は確定申告の書類や課税台帳等の調査や銀行や生命保険会社、勤務先など、財産がある可能性のある関係者に調査が及ぶ可能性があります。この調査は拒否や虚偽の調査回答をすると罰則規定のある、強制力のあるものとなっています。
財産差押
差押の対象となる財産も多岐にわたります。預金や、不動産、生命保険、給与、年金、株や高価な物品など、差押えの制限は一定あるものの、換金可能なものであれば何でも差押される可能性があります。
実際に差押が行われるのは?
通常、上記のような流れで税金の滞納による差押がされるため、実際のところ、最初の法令で挙げたような督促発布後、10日後(納期限から国税なら約2か月後、地方税なら約1か月後)にすぐに差押される可能性は低いかもしれません。
ただし、法令上、「差押なければならない」という規定がある以上、明らかな余剰財産が徴収職員に見つかってしまった時点で差押はされると思っておいた方が良いと思って損はありません。
滞納者の情報は管理されている
滞納者の方はこれを聞いてぞっとするかもしれませんが、最近では家族構成や、相談履歴や納付状況、過去の財産調査結果、所得状況などが、システムで管理されています。
過去にこんな話をしている、毎年所得がどのくらい、どこに預金口座を持っている、どこに勤めている等…。
今後も、こういったシステムは日々改良され、効率的な滞納処分(差押等)ができるようになっていく事は容易に想像がつきます。
今は実質○カ月、〇年間後に差押られると言われているような行政機関や自治体も、この期間が今後早まる可能性が高いので注意して下さい。
税金の滞納による差押を回避するには?
税金の滞納による差押を回避するために、どうすれば良いのか?
おススメの方法としては、税金をどうしても払えない場合には相談するです。
徴収職員はさまざまな手段を使っても連絡をせずに様子が分からないという人を嫌います。
徴収職員の最終目的は滞納者に適切な税金を納付してもらう事です。
相談が合理性や計画性があるものであれば、わざわざ徴収職員が労力を使って差押する必要がなくなります。
納付計画をしっかりと立てて納税相談をする事で差押は回避できる可能性が非常に高まります。
元徴税吏員として実際に差押業務を行ってきた私のおススメですので、是非やってみて下さい。
実際納税相談する前にはこちらの記事も見てみて下さい。
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